AIに相談 – Well being 日々の暮らしを彩る 19
2026・7/29号を見る
【AI音声対象記事】
スタンダードプランで視聴できます。
AIがいつの間にかそばに来ている感じがする。ネットでものを調べようとすると「AIに聞く」のマークが、従来の検索マークのすぐ脇に。誤ってさわったのか、検索結果より上にAIの答えが出てきて「頼んでいません」。思わずつぶやく。親切を通り越しておせっかいのような。
ショッピングのサイトにも「AIと探す」マーク。無視して、自分で選んだ商品を表示すると「この商品について知りたいことを相談してください」と対話を促す入力欄が。その欄のせいで、かんじんの商品画像や説明文が隠れてしまい「助けは要りません」「むしろじゃまです」。心の中でそう言ってお引き取り願うのだった。
そのAIにまさか自分から相談しようとは。ことの起こりは足の甲の捻挫。整形外科へ行くと、世の中には骨折や捻挫をする人がこうも多いのかと驚くほどの混み方だ。二時間待ってレントゲンを撮り「骨折はしていないですね。二週間後にまた来てください」。痛み止めの飲み薬と湿布薬を処方される。
その二週間の長いこと。薬で多少やわらぐが、痛みと腫れはなかなか引かない。骨こそ折れていなくても筋か何かが切れているのでは。行って質問したいけど「二週間後に」の指示に反することや、あの混み方、診察の短さを思うと尻込みする。AIについ聞いてしまった。
足の甲の捻挫、骨折はない、痛みと腫れがある、と入力するとただちに「それは心配ですね」。妙に寄り添ってくる返答だ。
AIの言うに、靱帯の断裂が隠れている場合があり、その場合は、足に体重をかけると特に痛く、ふつうに歩けないほどだと。私の症状はまさにそう。
捻挫ではなく「リスフラン関節症」の可能性もあると言われ、ドキリとする。それってレントゲンでわかるかと聞くと「MRIやCTでわかることがあります。他に考えられるのは……」。いろいろ説明が始まるが、漢字がたくさんある骨の名前が次々出てきて、頭が追いつかなくなり「今日はここまでで結構です。ありがとうございました」。礼を述べて打ち切ったつもりが「~についてお調べしましょうか」。まだ続けてくる。こちらが強制終了しない限り、切れないようになっているらしい。
AIもよし悪しだなと思った。情報収集はできるけど、へたすると不安になるばかり。
二週間後は腫れがかなり引いていて、「リスフランなんとか」や「MRI」の話を診察室で持ち出すのはためらわれるうちに「ではまた二週間後」。そのときは治っていたから、先生の指示に間違いはなかった。回復には時が必要というわけで。
AIへの相談はほどほどにしておこう。
岸本葉子・エッセイスト









