最新の放射冷却素材に思う – 視点
2026・7/15号を見る
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近年、国内はもとより、世界各地で記録的な暑さが続く。冷房需要が高くなると、必然的に電力需要も高まり、それが温暖化を加速させるという悪循環が、特に都市部では顕著になっている。
こうしたなか、冷房に頼らない冷却技術が注目を集めている。その一つに、日本のスタートアップ企業が開発した、電力を全く使わない放射冷却素材がある。
放射冷却材「SPACECOOL」は、太陽熱を最大95%反射しながら、物理学でいう「大気の窓」の波長域の赤外線を通じて熱を宇宙空間へ直接放出する素材だ。通常の断熱材や遮熱材が「熱を遮る」のに対し、「SPACECOOL」は地上から「熱を宇宙に捨てる」という根本的に異なるアプローチで、直射日光下でも表面温度を外気より低く保てる。実証結果では、空調エネルギー消費量が平均約29%削減され、コンテナ1基当たり15年間で約21トンのCO2排出量削減が見込まれたという。
昨年の大阪・関西万博では「SPACECOOL」が「ガスパビリオン」の外装膜に採用されるとともに、スタッフ用テントや案内スタッフのパラソルにも使用された。昨年末の「省エネ大賞」(経済産業省後援)ではグランプリを受賞。東京都内の小学校などでも、体育館や校舎の屋内温度を下げるために導入されたという。
日本が強みを持つ素材科学がグローバルな課題に応える事例として、今後の展開が注目される。世界中の温暖化対策、そして、CO2排出の抑制につながることを望むばかりだ。
ところで、教祖は麻と絹と木綿を比較してお話しくださり、生地が丈夫で何度も洗濯ができ、汗もよく吸い、さまざまな用途に使い回しができる木綿の性質を好まれ、そのような心を育むよう諭された。
電気を使わない、エネルギーを浪費せずに冷却ができる、というこの素材は、耐久性の面は不透明ではあるが、多様性、柔軟性という意味においては、木綿のような理に適った素材であるように思う。安価での普及が進むことを願わずにはおれない。と同時に、私たちの心の“木綿化”を進めたいものだ。
(永尾)








